配分交通量の推計
交通量の配分
交通需要予測のための4段階推計法においては,配分交通量(assigned traffic volume)を推計する必要がある.配分交通量の推計とは,交通機関別の分担交通量を各経路に割り振り,リンク交通量を得る作業をいう.
交通量配分における基準
交通量の配分にあたっては,何らかの基準が必要である.よく使われる基準として,Wardrop(ワードロップ)が提唱した2つの原則がある.
Wardropの第1原則
利用される経路の旅行時間はみな等しく,利用されない経路の旅行時間よりも小さいかせいぜい等しい.
経路の旅行時間に着目した表現になっているため少々わかりづらいが,これは経路の利用者が,完全情報化において自らの経路選択を最適化を目指した場合に到達する均衡状態を表している.すなわち,利用者の視点で,最短の経路を選択した場合である.これは,利用者均衡(User Equilibrium, UE)と呼ばれる.
Wardropの第2原則
道路ネットワーク上の総旅行時間が最小となる.
ここで,総旅行時間とは,利用者個々人の旅行時間を総和したものである.第2原則は,システム全体の最適化を目指した場合である.管理者の視点での経路選択基準ともいえる.これは,システム最適(System Optimum, SO)と呼ばれる.
その他の基準
なお,これらのWordropの原則以外にも,確率的に経路を選択する基準もある.
リンク費用関数
リンクの旅行時間が,常に一定であれば,すべての交通需要は同一の最短経路を選択するので,交通量配分はそれほど難しくない(All or Nothing配分).しかし,道路ネットワークなどにおいては,リンク交通量が増加すると,混雑が発生し,リンク旅行時間が増加すると考えるのが自然だ.
このように,リンク交通量によってリンク費用が変化することをFlow-dependentという.反対に,リンク費用がリンク交通量に依存しない場合は,Flow-independentという.
参考文献