利益だけを追求しない持続可能な都市開発の考え方とは?―『〈迂回する経済〉の都市論』【読書録】
要約
〈第四の場所〉のフィールド・サーベイ
新型コロナウイルス感染症流行下において、郊外住宅地の調査では、人々の日常生活の舞台が住宅地の街路に広がっている様子が見られた。また、飲食店や店舗がひしめく盛り場については、一部で観光対象として注目されていなかった場所の滞留が目立つ「反転盛り場」の現象が見られ、単純な消費地ではない盛り場の価値を露わにしつつある。
パブリックライフとは、人々が互いに出会い交流することで、互いを認知し、多様な人々がともに同じ社会を生きているのだという実感を得るような日々の生活のことである。このような感覚を〈共在感覚〉と呼ぶとすると、この〈共在感覚〉を得るような生活のことを、パブリックライフと呼ぶことができるのである。
自宅を「ファーストプレイス」、学校や職場を「セカンドプレイス」、自宅でも職場でもない空間を「サードプレイス」と呼ぶことがある。今回、郊外住宅地や盛り場で観察された路上の名もなき場所は、サードプレイスがパブリックライフの〈図〉であるとしたら、これらは普段は意識されない〈地〉の環境である。これを〈第四の場所〉と呼ぶことができるのではないか。〈第四の場所〉で行われるのはただ「眺める」ことであったり、「時間を過ごす」ことそのものであったりする。〈第四の場所〉は、〈共在感覚〉を互いに受け取る空間である。
場所とは客観的に自立して存在している安定的なものではなく、そこにやってくる人々の行為そのものであり、行為の瞬間が続いていくことで現れ続ける、不安定なものだ。場所とは動詞形の〈場所する〉として捉えられる。都市を計画する者にとって重要なのは、地域の自律性を支援することであり、それは言い換えれば無数の〈場所する〉が生まれ出てくるプラットフォームをつくることである。場所の雰囲気をつくっているのは「計画」というよりも、そこにあふれている人々であるという再考が必要である。
〈迂回する経済〉の構想
20世紀末からの約30年前後で噴出した都市開発と私たちの日常生活に関する問題がいくつかある。
レム・コールハースは、国際化が世界中の国々の都心部をグローバルチェーンのひしめく無個性の消費空間へと変えたことを「ジェネリックシティ」として批判する。
東京の商業地では地価の「虚需」が膨らみ「実需」が落ち込んでいる。住宅地でも同様の現象が見られ、住環境の格差化が進んでいる。この問題は海外の先進諸国でも「ジェントリフィケーション」として認知されている。
ノーベル化学賞受賞者のパウル・クルッツェンは人類が地球の地質や生態系に与える影響が無視できなくなった時代の幕開けを「人新世」として2000年に提唱した。
戦後の都市化は、行政が主導して必要な機能の量的な充足を進める〈第一の都市化〉と、民間企業が中心となって空間を商品として扱う〈第二の都市化〉に区分できる。第二の都市化の時代に、いかにして私たちの直面する課題を解消していけるのだろうか。
民間企業が利益を最大化するための最短距離を目指す考え方を〈直進する経済〉とすると、それは都市開発で稼げる面積を最大化する考え方をとる。
これに対して〈迂回する経済〉は、その開発を支える「地」を見極め、それを豊かにすることを考える。例えば吹き抜けや共用空間、屋外空間などを豊かにし魅力的な空間にすることで、来客の滞在時間が延びたり、客単価が上がったり、リピーターが増えたりするかもしれない。
〈迂回する経済〉の本分は、「まち全体のパブリックライフを耕す」ことである。
民間企業がその多くを担う21世紀の都市開発では、経済合理性の範疇を広げて〈直進する経済〉と〈迂回する経済〉の両輪を考えなければならない。
〈迂回する経済〉は大きく分けて3つのケースに整理できる。
1つめは、都心部で、余裕のある大企業が従来のCSRや企業イメージアップに向けて実施する場合。
2つめは、郊外や周縁部で、〈直進する経済〉が通用しないために、やむをえず〈迂回する経済〉を実施する場合。
3つめは、都心・地方を問わず地元密着型企業が〈迂回する経済〉を実施する場合である。
近代の計画はさまざまな二項対立をつくりだしてきたが、これらの二項対立を縫合することが私たちが行うべきことだ。〈迂回する経済〉は「経済的合理性と公共的・社会的合理性という二項対立を止揚するサード・オーダー」である。
〈迂回する経済〉の柱として解釈される3つのコンセプトは〈即自性/コンサマトリー〉、〈再帰性/リフレキシビリティ〉、〈共立性/コンヴィヴィアリティ〉である。
〈即自性/コンサマトリー〉な考え方とは、「現在を現在によって肯定する」ことであり、現在の価値を未来の役に立つかどうかで判断する(=〈道具的/インストゥルメンタル〉な考え方)のではなく、現在を生きていることそのものの価値を存分に享受するということである。コンサマトリーな価値を尊重する都市計画は、投資価値よりも人々の生活での楽しみを尊重するだろう。
〈再帰性/リフレキシビティ〉は、社会学では自分が変わっていくこととして議論されてきた。イギリスの社会学者アンソニー・ギデンズは、再帰性を「人々が周囲の状況について省察する必要があるという事実」だと定義する。〈再帰性〉を重視する都市計画とは、簡潔に言えば「出会いと、絶えず変化することに価値を置く」まちへと向かう計画になるだろう。空間の「未決性」をいかにして再帰性を涵養する舞台として活用できるかも問われている。
〈共立性/コンヴィヴィアリティ〉とは、「ともに生きること」のような意味になる。本来は「自分の力とおたがいの力」でできたはずのことが、近代化の過程で専門化・制度化されていった状況を、再び人間の力でできるように回復することが〈コンヴィヴィアリティ〉を取り戻すということである。 こうした考え方を都市に導入する場合、あらゆる領域で「組み直し」が生じるだろう。
〈迂回する経済〉の実践
・東京都立川市「GREEN SPRINGS」
2020年4月に立川駅の北側に開業した複合施設。大面積のオープンスペースを有する。開発・運営を担うのは市内で長年不動産業を営む主体であり、立川のイメージを向上させることが長期的な利益になると考える。
・東京都世田谷区「下北線路街」
小田急電鉄の路線地下化とともに実施された、世田谷代田・下北沢・東北沢にかけての1.7kmにわたる地上部の開発プロジェクト。民間企業が中心となって、運営管理を担う「担い手」を積極的に育てている。小田急電鉄は下北線路街の緑地・植栽の管理をシモキタ園藝部に委託しており、園藝部はこれを元手に部員のやりたい活動を支援している。また、小田急電鉄の担当者が信頼できる会社に下北線路街の区画を任せるサブリースの方法により、チェーン店の入居を回避し個人が新しい飲食店や小売店にチャレンジできるスペースを確保するとともに、担当者の交代により方針が変わらないようにしている。
地域に複数の主体が関わり、空間を運営する権限を移していくという「自立自走」の発想は、開発に〈コンヴィヴィアリティ/共立性〉を確保することにつながる。
・早稲田大学 マスタープラン
早稲田大学の2032年までの計画、そしてその先の「長期計画」を定めるマスタープランの作成に筆者も参画した。感染症流行を機に、従来の教育・学習方法とは逆の、「自宅でオンライン教材により知識を得る」→「教室で議論や発展的な課題に取り組む」という方法の「反転授業」を早稲田大学では打ち出している。これに合わせて、教室からコモンスペースへ、計画の主役を変転させる「キャンパス空間の反転」を目指し、4段階に分けた「余白=コモンスペース」を計画する。
「物理的な空間」のもっている意味、対面で集合することの意味を「再帰的に」考え直す必要に迫られた例でもある。
・食の経験の地図
食事は、〈即自性〉を重視する私たちの最も身近な行為である。食環境を「経験」の次元から捉えて計画していくことは、〈即自性〉に価値を置く計画の中心と言っても過言ではない。主観的な〈即自的側面〉を分析するには、「調査方法のジレンマ」が立ちはだかる。新宿に着目して口コミを分析したところ、食の経験は新宿の中にもいくつかの局所的な「島」を形成していた。食の経験は、1つの店舗ではなく、地域一帯に「島」となって広がっていくことで、来訪者を呼び込む効果的な資源となっていく。
所感
本書は、民間企業がパブリックライフを充実させる「地」をつくる都市開発を行う〈迂回する経済〉という考え方を提唱した一冊でした。人口減少の中で持続可能な都市をつくるため、また、そこに暮らす人々の生活を充実させるために、こうした発想の転換は重要な示唆であるように思います。
一方で、これを実践するにあたっては、民間企業の利益に対する考え方の転換が必要であるように思います。本書の中では〈迂回する経済〉の概念と事例の提示にとどまりましたが、「地」を豊かにすることの価値を企業がどのように評価するべきなのかは、〈迂回する経済〉が浸透するために今後の重要な視点であると思いました。
世界の転換期に求められる社会システムとは?―『希望のコミューン 新・都市の論理』【読書録】
はじめに
本記事は、布野修司・森民夫・佐藤俊和著(2024年)『希望のコミューン:新・都市の論理』の読書録です。
希望のコミューン: 新・都市の論理 | 布野修司, 森民夫, 佐藤俊和 |本 | 通販 | Amazon
要約
都市コミューンの論理(布野修司)
世界は転換期にある。第一に民主主義vs権威主義という新たな対立、第二にICT革命とインターネット社会の到来、AIの出現、第三に地球環境の危機がフィードバック不可能な点に近づきつつあることが挙げられる。
本書が問うのは、近代の国民国家システムに代わる世界システムである。国民国家に代わる基礎単位として注目するのはコミューンである。
フランス、イタリアの基礎自治体を意味するのがコミューン(コムーネ)であり、日本語では「自治都市」「都市共同体」となる。
日本の社会は未来についてはサステナブルなビジョンを欠いてきており、平成バブルが弾けた以降も、成長拡張の金融資本主義に変わるビジョンを打ち出せなかった。日本・世界の総人口が減少する見通しの中で、メガシティ、一極集中、格差拡大の資本主義モデルとは異なる社会モデルが必要とされており、分散自律組織(DAO)としての都市コミューンのネットワークは大きな指針となる。
都市コミューンのための7つの指針とは、
①オートノミーAutonomy(自治・自立・自律)の原則
②経済の地域内循環
→「都市ー農村地域連合」による自給自足、地域通貨
③再生エネルギーによる自給自足
→公共交通・自転車利用の強化、再生エネルギーの利用、グリーンビルディングの建設、廃棄物の削減・リサイクル、緑の保全・拡充
④都市OS―デジタル・インフラストラクチャーの確立
→行政や物流、交通などのソフトウェアを動かすための基盤の構築
⑤共助・相互扶助システムの構築
→共助・相互扶助の役割を担う市民と行政の連帯
⑥シェアハウス、コーポラティブハウス、オートノマス・ハウスの原則
→単独世帯の増加を踏まえた共同住宅の建設
⑦多様な都市ネットワークの構築
→後背農村や他都市とのネットワーク、災害時に相互に援助する自治体ネットワーク、姉妹都市提携による国際交流
である。
移動の未来(佐藤俊和)
日本ではかつては会社も国もベンチャーのように私鉄や新幹線などの交通網を作り上げてきたが、その先の変革には及び腰になってしまっている。UberやMaasなど、ICTを使った移動が世界中で目指されるようになってきている。少子高齢化が進む中、ICT技術を活用して今ある街をどう変えていくか考えていくべきである。
創意工夫の地方自治(森民夫)
現代は、中央集権的な行政の役割と力が一貫して低下してきた一方、市民、市民団体、民間企業等の”民”の力が増大してきた時代である。日本の行政機構の大きな課題は、国、都道府県、市区町村という順の上意下達型三層構造である。国と基礎自治体との情報の流れが阻害される弊害は解消しなければならない。
基礎自治体の強みは、
①市民ニーズの理解力
→市民ニーズの的確な把握
②市民の知恵と行動力を生かす市民協働力
→行政が持つ「公平性の維持」に対し、自由で自発的な市民活動との協働
③縦割り間の隙間を埋める総合力
→霞ヶ関の縦割り施策の総合化
④他地域との連携力
→意欲のある基礎自治体同士の横の連携
の4点にある。
所感
本書はバックグラウンドの異なる3人の著者がそれぞれ執筆した三部構成となっている。
第一部ではまず都市のグローバルヒストリーを振り返ったうえで日本をとりまく問題を整理し、さらに都市コミューンのための7つの指針を提示する。日本の政治、経済、社会に対する構造欠陥への指摘は、日本の未来に対する閉塞感の根源を非常に的確に論じていると感じた。一方で、目指すべき都市コミューンの姿については、その各構成要素のヒントは散りばめられてはいるものの、全体像はピンとこない。資本主義に代わるシステムが求められていることは強く共感するが、それが「都市コミューン」像により解決可能なのかはわからなかった。
第二部ではICT技術開発と交通インフラの整備の歴史を振り返ったうえで、AIの進化がもたらす移動の変革の展望を論じている。全体的に、歴史的事実関係と世界の移動システムの動向の提示が主であり、あまり目新しさはなかった。
第三部では地方分権改革の歴史と現状を提示したうえで、行政の現場経験のある著者による具体的な施策例を紹介する。第一部で理論体系が示された「都市コミューン」像が、第三部の事例の提示によって多少なりとも地に足がついたイメージができたように思う。中央集権システムは限界が見えており、基礎自治体(狭義の都市コミューン)が市民、市民団体、民間企業等と連携していくことの重要性には強く共感した。
都市計画道路に関する都市計画法上の規定について
都市計画法における道路の位置づけ
根拠規定(都市計画法 第11条第1項)
■都市計画法(抄)
(定義)
第四条 (略)
5 この法律において「都市施設」とは、都市計画において定められるべき第十一条第一項各号に掲げる施設をいう。
6 この法律において「都市計画施設」とは、都市計画において定められた第十一条第一項各号に掲げる施設をいう。(都市施設)
第十一条 都市計画区域については、都市計画に、次に掲げる施設を定めることができる。この場合において、特に必要があるときは、当該都市計画区域外においても、これらの施設を定めることができる。
一 道路、都市高速鉄道、駐車場、自動車ターミナルその他の交通施設
都市計画法第11条に、都市計画において定められるべき施設「都市施設」の根拠規定があります。
道路もこの「都市施設」の1つとして位置づけられています。
なお、「都市計画道路」という用語は法定の用語ではありませんが、都市計画に定められた都市施設を「都市計画施設」と呼ぶのと同様に、都市計画に定められた道路のことを「都市計画道路」と呼ぶことが一般的です。
都市計画に定める事項(都市計画法 第11条第2・3項)
■都市計画法(抄)
(都市施設)
第十一条 (略)
2 都市施設については、都市計画に、都市施設の種類、名称、位置及び区域を定めるものとするとともに、面積その他の政令で定める事項を定めるよう努めるものとする。
3 道路、都市高速鉄道、河川その他の政令で定める都市施設については、前項に規定するもののほか、適正かつ合理的な土地利用を図るため必要があるときは、当該都市施設の区域の地下又は空間について、当該都市施設を整備する立体的な範囲を都市計画に定めることができる。この場合において、地下に当該立体的な範囲を定めるときは、併せて当該立体的な範囲からの離隔距離の最小限度及び載荷重の最大限度(当該離隔距離に応じて定めるものを含む。)を定めることができる。
■都市計画法施行令(抄)
(都市施設について都市計画に定める事項)
第六条 法第十一条第二項の政令で定める事項は、次の各号に掲げる施設について、それぞれ当該各号に定めるものとする。
一 道路 種別及び車線の数(車線のない道路である場合を除く。)その他の構造
2 前項の種別及び構造の細目は、国土交通省令で定める。
(都市施設について都市計画に定める事項)
第七条 令第六条第二項の国土交通省令で定める種別及び構造の細目は、次の各号に掲げる種別及び構造について、それぞれ当該各号に掲げるものとする。
一 道路の種別 自動車専用道路、幹線街路、区画街路又は特殊街路の別
二 道路の構造 車線の数(特殊街路その他の車線がない道路である場合を除く。)、幅員並びに嵩上式、地下式、掘割式又は地表式の別及び地表式の区間において鉄道又は自動車専用道路若しくは幹線街路と交差するときは立体交差又は平面交差の別
道路に関する都市計画に定める事項は、以下の通りです。
- 種類
- 名称
- 位置
- 区域
これらに加えて、定めるよう努める事項として、以下があります。
- 種別(自動車専用道路、幹線街路、区画街路、特殊街路の別)
- 車線の数
- 幅員
- 嵩上式、地下式、掘割式、地表式の別
- 地表で鉄道等と交差する場合、立体交差又は平面交差の別
さらに、必要な場合は以下の事項を定めることができます。
- 立体的な範囲
- 当該立体的な範囲からの離隔距離の最小限度及び載荷重の最大限度
なお、定めるよう努める事項として種別があります。
これらの定義は法令上定められていませんが、国土交通省の都市計画運用指針には以下の記載があります。
① 自動車専用道路
都市高速道路、都市間高速道路、一般自動車道等専ら自動車の交通の用に供する道路
② 幹線街路
都市内におけるまとまった交通を受け持つとともに、都市の骨格を形成する道路
③ 区画街路
地区における宅地の利用に供するための道路
④ 特殊街路
ア 専ら歩行者、自転車又は自転車及び歩行者のそれぞれの交通の用に供する道路
イ 専ら都市モノレール等の交通の用に供する道路
ウ 主として路面電車の交通の用に供する道路
都市計画を定める主体(都市計画法 第15条)
■都市計画法(抄)
(都市計画を定める者)
第十五条 次に掲げる都市計画は都道府県が、その他の都市計画は市町村が定める。
五 一の市町村の区域を超える広域の見地から決定すべき地域地区として政令で定めるもの又は一の市町村の区域を超える広域の見地から決定すべき都市施設若しくは根幹的都市施設として政令で定めるものに関する都市計画
■都市計画法施行令(抄)
(都道府県が定める都市計画)
第九条 (略)
2 法第十五条第一項第五号の広域の見地から決定すべき都市施設又は根幹的都市施設として政令で定めるものは、次に掲げるものとする。
一 次に掲げる道路
イ 道路法(昭和二十七年法律第百八十号)第三条の一般国道又は都道府県道
ロ その他の道路で自動車専用道路であるもの
原則として都市計画を定める主体は市町村ですが、複数の市町村に影響するような都市施設や、根幹的な都市施設については都道府県が定めることとされています。
道路については、一般国道、都道府県道、自動車専用道路については都道府県が定め、その他の道路(一般的な市町村道など)については市町村が定めることとなっています。
ただし、政令指定市については以下の特例の規定があり、すべての道路を政令指定市が定めることになります。
■都市計画法(抄)
(指定都市の特例)
第八十七条の二 指定都市の区域においては、第十五条第一項の規定にかかわらず、同項各号に掲げる都市計画(同項第一号に掲げる都市計画にあつては一の指定都市の区域の内外にわたり指定されている都市計画区域に係るものを除き、同項第五号に掲げる都市計画にあつては一の指定都市の区域を超えて特に広域の見地から決定すべき都市施設として政令で定めるものに関するものを除く。)は、指定都市が定める。
■都市計画法施行令(抄)
(一の指定都市の区域を超えて特に広域の見地から決定すべき都市施設)
第四十五条 法第八十七条の二第一項の一の指定都市の区域を超えて特に広域の見地から決定すべき都市施設として政令で定めるものは、第九条第二項各号に掲げる都市施設のうち、次に掲げるものとする。
一 空港法第四条第一項各号に掲げる空港及び同法第五条第一項に規定する地方管理空港
二 国が設置する公園又は緑地
三 水道
四 下水道
五 河川(河川法第五条第一項に規定する二級河川のうち、一の指定都市の区域内のみに存するものを除く。)
道路を都市計画に定める意義
国土交通省の「都市計画運用指針」では、都市施設を都市計画に定める意義について、以下の記載があります。
都市施設は円滑な都市活動を支え、都市生活者の利便性の向上、良好な都市環境を確保するうえで必要な施設であるが、都市施設を都市計画に定めることについては、
以下のような意義がある。
① 計画段階における整備に必要な区域の明確化
都市施設の整備に必要な区域をあらかじめ都市計画において明確にすることにより、長期的な視点から計画的な整備を展開することができ、円滑かつ着実な都市施
設の整備を図ることができる。
② 土地利用や各都市施設間の計画の調整
都市内における土地利用や、各都市施設相互の計画の調整を図ることにより、総合的、一体的に都市の整備、開発を進めることができる。
③ 住民の合意形成の促進
将来の都市において必要な施設の規模、配置を広く住民に明確に示すとともに、開かれた手続きにおいて地域社会の合意形成を図ることができる。
こうした意義に加えて、実務的な法的効果として、主に以下があります。
おわりに
本記事では、都市計画道路に関する都市計画法上の規定について、主なものをまとめました。
参考になれば幸いです。
なお、掲載した法令等は法改正等により変わる可能性がありますので、適宜最新の法令等を参照ください。
更新履歴
2025/04/28 記事作成
東京オリンピックの選手入場に採用!ドラゴンクエスト「序曲:ロトのテーマ」についてまとめてみた
東京オリンピック2020の開会式における選手入場でドラゴンクエストの序曲が使用されました。
国立競技場に鳴り響く勇壮なファンファーレに、また日本のゲーム音楽が国際的な式典で使用されるまでになったということに、胸が熱くなった人も多いのではないでしょうか。かくいう筆者もその一人です。
今回は、ドラゴンクエストの序曲についてまとめたいと思います。
開会式の様子
ドラゴンクエストの序曲を皮切りに、日本を代表するゲーム音楽とともに各国の選手団が入場しました。
使用されたゲーム音楽一覧
ドラゴンクエスト「序曲:ロトのテーマ」
ファイナルファンタジー「勝利のファンファーレ」
テイルズオブシリーズ「スレイのテーマ~導師~」
モンスターハンター「英雄の証」
キングダムハーツ「Olympus Coliseum -The Shining Sun」
クロノ・トリガー「カエルのテーマ」
エースコンバット「First Flight」
テイルズオブシリーズ「王都-威風堂々」
モンスターハンター「旅立ちの風」
クロノ・トリガー「ロボのテーマ」
ソニック・ザ・ヘッジホッグ「Star Light Zone」
ウイニングイレブン「eFootballwalk-on theme」
ファイナルファンタジー「MAIN THEME」
ファンタシースターユニバース「Guardians」
キングダムハーツ「Hero’s Fanfare」
グラディウス「01 ACT I-1」
ニーア「イニシエノウタ」
サガシリーズ「魔界吟遊詩-サガシリーズメドレー2016 」
ソウルキャリバー「The Brave New Stage of History」
(出典:ドラクエ、FF、モンハン日本生まれのゲーム音楽で選手入場/使用曲一覧 - 東京オリンピック2020 : 日刊スポーツ)
また、すべての選手が入場した後の"締め"にも序曲が使用されました。
締めはドラクエ!
— エト (@mh_rise_eto) 2021年7月23日
やっぱりすぎやんの音楽最高だよね🥰 pic.twitter.com/9p0bM9eHjk
ドラクエ関係者の反応
ドラクエシリーズの生みの親、堀井雄二さん
オリンピックの入場曲にドラクエの曲が流れた時は、ボクも、うるうるしてしまいました。これまで35年走ってきたかいがあったような気がしました。素晴らしい楽曲を作曲してくださったすぎやま先生をはじめ、支えてきてくれた多くの皆さんに感謝です。ありがとう!!
— 堀井雄二 (@YujiHorii) July 23, 2021
ドラクエファンで、アリーナの声優でもある中川翔子さん
オリンピック開会式ドラクエの曲が流れた!!!!!鳥肌!!!!!すごい!!!!
— しぶとい中川翔子🌙⭐️ (@shoko55mmts) July 23, 2021
スクウェア・エニックス ドラゴンクエストシリーズ チーフプロデューサー 市村龍太郎さん
日本のゲームが世界に誇れる文化になったんだなーって思える開会式ですね☺️
— 市村 龍太郎 (@RyutaroIchimura) July 23, 2021
ドラクエの序曲でスタートなんて泣くしかないじゃん😭
すぎやま先生!素晴らしい音楽をありがとうございます🌟
なんかオリンピックと距離が縮まった気がする😊#ドラクエ
ゲーム音楽の使用はいつ決まった?小山田氏辞任との関係は?
オリンピックの楽曲については、作曲担当の小山田圭吾氏が開会式の4日前に辞任の意向を示していました。
www3.nhk.or.jp
こうしたことから、今回のゲーム音楽の使用についても、小山田氏の辞任後に急遽変更して決まったのではと推測する声もSNS上では見られましたが、私はこれには懐疑的です。
というのも、開会式にドラクエの楽曲が使われるのでは、という噂はもっと前からあったからです。
6月末にはすでにドラクエの曲が使われるのではという噂はあった
6/27 #高橋由美子 日本青年館ホールライブの帰りに #国立競技場 通ったら #ドラクエ のテーマが漏れてた…
— 新橋テツロウ(偽じゃんけんマスター) (@a_la_nozo) June 28, 2021
リオ五輪閉会式の #マリオ に続いてサブカルゲームコーナーがあるのか東京オリンピック開会式🏟️#Tokyo2020 #オリンピック pic.twitter.com/pswBAjfkbn
少なくとも6/27の時点でゲーム音楽の使用が決まっていたと考えられます。
なお、一応この時点では大会関係者からは、リハーサルでは「カムフラージュのためにダミー曲を流すこともある」と、ゲーム音楽の使用についてはお茶を濁していたようです。
news.yahoo.co.jp
ちなみに、小山田氏の辞任で変更となった箇所として、少なくとも開会式冒頭のカウントダウンの部分があるようです。
www.nikkansports.com
ドラクエの海外での知名度は?
まったくの無名という訳ではなくなってきている
ドラクエは海外では知名度が低いため、オリンピックで流す曲としては相応しくないのではないかという声もSNSではよく見られました。
確かに、ドラクエは日本で国民的RPGとして親しまれているほどの知名度を海外では持っているわけではありませんが、まったくの無名というわけでもないようです。
ドラゴンクエストシリーズは過去、商標上の問題から"DRAGON WARRIOR"というタイトルで海外で発売されていた経緯を持っています*1。
海外でも"DRAGON QUEST"として本格的に発売されたのはドラゴンクエスト8からで、ドラクエ8は全世界で490万本、国内で370万本を売り上げています*2。
オンラインであるドラクエ10は海外では発売されませんでしたが、最新作であるドラゴンクエスト11は全世界累計出荷・ダウンロード販売本数が600万本を達成しています(DQ11S含む)*4。
国内と海外の販売本数の内訳は不明ですが、DQ8やDQ9の売上から少なくとも100万本は超えていそうです。
海外での人気が圧倒的なFFシリーズにはかないませんが、まったくの無名という位置づけではなくなってきています。
海外の反応
アメリカのTwitterでもDragon Questがトレンド1位となり、海外のゲームファンからも好意的な反応があったようです。
アメリカのトレンド1位が“Dragon Quest ”なの最高にイイな #Tokyo2020 pic.twitter.com/Ll7jDXmPrJ
— リriic (@riic_riic9) July 23, 2021
news.yahoo.co.jp
「序曲:ロトのテーマ」とは?
ドラクエ3の楽曲
今回使用された楽曲名は「序曲:ロトのテーマ」と公表されていました。
通常、ドラクエでおなじみのテーマソングは「序曲」と呼ばれていますが、「ロトのテーマ」とは何を指しているのでしょうか。
「ロトのテーマ」とは序曲のアレンジのひとつで、ドラクエ3で使用されている楽曲になります。
行進曲風のリズムを刻むことが特徴で、まさにオリンピックの選手入場にもぴったりのアレンジ曲とも言えます。
また、「ドラゴンクエストⅢ そして伝説へ…」は発売当時様々な社会現象を引き起こし、ドラクエの国民的ゲームとしての地位を確立した、文字通り伝説的な作品。
序曲にはいくつかのアレンジがありますが、あえてドラクエ3の「ロトのテーマ」を選ぶあたり、開会式の製作陣のこだわりを感じますね。
序曲は5分でできた!?
序曲は、初代ドラゴンクエストから使用されているドラクエのオープニングテーマ曲。
そんな序曲を作曲したのは、ドラゴンクエストシリーズの音楽を手がけている作曲家すぎやまこういち氏。
「亜麻色の髪の乙女」などの昭和歌謡の作曲でも知られています。
2020年には文化功労者にも選ばれました*5。
序曲は、わずか5分で作曲されたといわれています。
すぎやまこういち氏はこのことについて、「ドラゴンクエストの『序曲』を作ったとき、僕は54歳の時です。ですから、『序曲』が出来上がるまでには『5分+54年』と考えてください。つまり、僕の54年間の人生が無ければ、あの『序曲』は出来なかったわけです。」とも語っています*6。
出典・参考
漫画で親しむ世界史【漫画紹介】
はじめに
世界史って現代日本と土地も時代も異なる話なので、イメージも湧きづらく、とっつきにくいですよね。
本記事では、面白いのはもちろんのこと、世界史に親しみやすくなるおすすめ漫画を紹介します。
中国史
春秋戦国時代、秦、漢、三国時代…。ダイナミックに移り変わる古代中国の歴史を概観できる漫画をご紹介します。天下を目指して戦う男たちの武勇と智謀は必見!
紀元前770年~紀元前221年:春秋戦国時代
紀元前210年~紀元前202年:楚漢戦争(項羽と劉邦)
西洋史
紀元前4世紀 古代ギリシア世界
おわりに
本記事では世界史に親しめる漫画を紹介しました。あくまで漫画はエンターテインメントなので、漫画の中で語られていることがすべて史実ということはないでしょうから、その点は注意が必要ですが、こうした漫画を読んでおくだけでその時代にとっつきやすくなるのではないでしょうか。
面白い漫画があれば今後も追記していきます。
財政の果たすべき3つの役割とは何か?【財政学】
はじめに
本記事では、土居丈朗 著「入門|財政学」を参考に、財政の機能について整理します。
財政が果たすべき役割としては、資源配分機能、所得再分配機能、経済安定機能の3つの機能があるとされています。以下、それぞれについて解説していきます。
資源配分機能
1つ目の機能は、資源配分機能です。
通常は、民間の経済主体の市場を通じた経済活動によって、必要なところ(家計、企業、政府など)に十分な経済資源(労働、資本、土地など)が行き渡るように調整されますが、中には、民間の経済主体だけでは資源配分が必ずしもうまくいかない(=パレート最適にならない)場合があります。こうした状況を市場の失敗と呼びます。
市場の失敗が起きる場合、行政サービスを提供する形で経済資源をよりよく配分することが求められます。こうした機能を、政府による資源配分機能と呼びます。
資源配分機能の具体例としては以下のものがあります。
公共財の供給
公共財とは、非排除性と非競合性を持つ財・サービスをいいます。
- 非排除性:財やサービスの対価を支払わなかった人でもその財・サービスが消費できる性質
- 非競合性:ある人が財やサービスを消費したとしても、他の人々の全く同じ財やサービスの消費を減らすことがない性質
公共財の中でも、非排除性または非競合性の度合いが弱い財を準公共財と呼びます。
【準公共財の具体例】
- 有料道路(料金を支払わない人は利用できないため排除的だが、非競合的)
一方、非排除的かつ非競合的な財を、厳密には純粋公共財と呼びます。
【純粋公共財の具体例】
- 警察(防犯)
- 消防
- 国防
- 公園
公共財は非排除性を持っているため、対価を支払わない人でも公共財を消費できます。そのため、故意に対価を支払わずに公共財を消費しようとする人を阻止できず、これをフリーライダー問題といいます。
フリーライダー(ただ乗り)問題が生じるため、公共財は市場メカニズムで供給すると市場の失敗を起こします。このため、公共財は政府がいかに適切に供給するかが重要になります。
外部性
ある経済主体から別の経済主体に市場取引を通じないで便益や損害を及ぼす現象を外部性(externality)といいます。便益を与える現象を外部経済(external economy)、損害を与える現象を外部不経済(external diseconomy)といいます。
外部性のある財やサービスは、市場取引を通さないため、便益や損害に相当する価値が市場での価格に反映できず、市場の失敗が生じます。
【外部経済の例】
・借景(近隣の景観から得る便益)
・産業集積(複数の企業が近隣に集まることで生産性が高まる効果)
【外部不経済の例】
・大気汚染や水質汚濁などの公害
・地球温暖化に伴う地球環境の悪化
外部性による市場の失敗は、政府が適切に介入することで是正することができます。
税金や補助金などの政策によって、外部性の効果を経済主体に認識させて市場の失敗を是正することを、内部化といいます。
【具体例】
- 環境税
- 炭素税
価値財
必ずしも家計は好まないが、社会的にみて家計が適切に消費することが望ましいと考えられる財・サービスを、価値財(merit goods)と呼びます。
価値財は、家計が自発的に消費しない場合には、政府が強制も含めて家計に供給することが、社会全体でみて望ましいことになります。
【具体例】
- 義務教育
- 健康診断
- (強制加入の)公的年金
- 麻薬の禁止
所得再分配機能
2つ目の機能は、所得再分配機能です。
所得の再分配とは、個人間の所得格差を、所得分配が公平になるように調整することです。
政府が、所得が多い人ほど多くの税金を取り、所得の少ない人ほど多くの補助金を出すと、再分配後の所得格差は小さくなります。
【具体例】
経済安定機能
3つ目の機能は、経済安定機能です。
政策によって景気を安定させることを経済の安定化といいます。
経済安定化機能の例として、次のものがあります。
まとめ
本記事では財政の果たす3つの機能を、それぞれの具体例とともにまとめました。
- 資源配分機能:市場の失敗に対して介入し、資源をよりよく配分する。
- 所得再分配機能:所得格差が公平になるように再分配により調整する。
- 経済安定機能:政策によって景気を安定させる。
市場だけに任せていると社会が適切に機能しないところに対して財政が働いているということがよくわかりますね。
空間平均速度とは何か【技術士一次試験過去問の解法】
「空間平均速度」は,交通工学において取り扱う速度の考え方です.本記事ではその定義や概念について,桑原雅夫 著「交通流理論―流れの時空間変化をひも解く」を参考に整理しました.
また,空間平均速度はしばしば技術士一次試験(建設部門)でも「都市及び地方計画」の分野で出題されます.いくつかの参考書では,空間平均速度を問う問題は難解な上,式を知っていなければ解けないため捨て問とするべきという旨の解説もありますが,概念を理解すればそれほど難しいものではありません.この記事の後半では技術士一次試験の過去問の解法についても記載します.
なお,その他の「都市及び地方計画」で頻出の事項はこちらでもまとめています.
空間平均速度の定義
空間平均速度の定義
時空間の領域Aにおいて,交通状態を表す交通流率[台/単位時間],交通密度
[台/単位距離],空間平均速度
[単位距離/単位時間]は,それぞれ次のように定義されます.
空間平均速度は,上述の式のとおり,時空間の任意の領域内の(総走行距離)/(総走行時間)で定義されるものです.
また,交通工学においては,上述の式より示される という関係は,常に成立する重要な式となります.
すべての車両の走行距離が等しいときの空間平均速度の式の導出
さて,路側から交通を観測した場合のように,狭い範囲の車両のみ観測した場合などでは,どの車両も走行距離が等しくなる()とみなせるため,次のようにも表すことができます.
このように,空間平均速度は,個別車両の速度
の算術平均ではなく,調和平均となります.なお,算術平均したものは時間平均速度といいいます.
ここまで,空間平均速度の導出について説明しました.導出はやや難解ですが,よく出題される問題を解くには,空間平均速度が個別の車両の調和平均で表されるという式だけ覚えておけば十分です.次に,実際によく出題される問題を見てましょう.
技術士一次試験(建設部門)での過去の出題例
過去の技術士一次試験で出題された問題を紹介します.
令和元年度再試験
Ⅲ-15
道路区間400mの両端で交通量を60秒間観測し,3台の車両を観測した.各車両は60km/h,60km/h,30km/hの一定速度で走行していた.このとき時間平均速度は50km/hになるが,空間平均速度に最も近い値はどれになるか.
① 45km/h ② 48km/h ③ 50km/h ④ 52km/h ⑤ 55km/h
解法1:速度の調和平均より導出
上述の空間平均速度の式を覚えていれば,代入するだけで解けます.
解法2:空間平均速度の定義より導出
式を覚えていない場合でも,空間平均速度は(総走行距離)/(総走行時間)という定義を思い出せば,回答を導き出すことも可能です.
更新履歴
2020/12/06 参考文献のリンク先を更新
2021/04/25 微修正







